大分の足立さんより
いつも心のどこかで戦っているんです
家族の会 大分県支部 足立昭一(本人)
今、私はデイサービスに通っています。
私の利用しているデイサービス「かざぐるま」は家庭的な雰囲気で、まるで自分の家に居るような感覚になります。私が、「お腹空いたよ〜。」と台所にいけば、私の大好きな栄養士の人が調理をしているものをポーンと口の中へ入れてくれるのです。最高にしあわせな時です。
昔、子どものころ、おふくろがよくしてくれていたことと同じです。
そういう雰囲気の中で職員の方が私にできる「仕事」を見つけてくれました。
掃除に始まり、体操の補助、利用者さんの髪を乾かしてあげたり、私の一番の得意とするところのマッサージをしたり(マッサージに関しては職員の方々のマッサージもします)・・・・と。
忙しくて、一日がアッというまに過ぎています。
よく「疲れませんか?」と尋ねられますが、私はこう答えます。「こんな楽しいことをさせてもらっているのに、なぜ疲れるんですか?」と。
利用者さんの喜ぶ顔、「ありがとう」と言って下さる言葉に、私はいつもやる気をもらっています。「仕事」といってもそこにお金は発生しませんが、「人の役に立つ喜び」を感じています。
私が「人の役に立つ喜び」を感じられるのは、周りの方々が、私を認知症の足立昭一ではなく、足立昭一の認知症としてみて関わって下さっているからだと思います。
私は診断されたときに「認知症なんかに負けないぞ!」と思いました。確かに苦しいとき、悲しいとき、辛いときはありますが、私はいつも自分の中で努力をして自分なりのレベルアップをしたいと思っています。この思いが今の自分を支えているような気がします。
認知症の人は、いつも心のどこかで自分と戦っているんです。
その戦いを自信や安心に変えられるのは、家族を含め周りの方々、つまり社会ではないかと思います。私たち認知症になったものは何か悪いことをしたからなったのではありません。本人が感じること、思うことをどんどん社会に向けて発信しましょう。私たちの声は、社会を支えるひとつの「鍵」になるのではと思います。
さぁ!今日も自分らしくやるぞー!
本人の声と日記より
2010・2・23
代筆 足立由美子(妻)
認知症になって そして今 Ⅰ
認知症になって そして今 Ⅰ
2011/02/12 極楽トンボ
1.認知症と診断されるまでの経緯
①1998年頃からだと思うが、物の置き忘れが徐々に発生して、持ち物に名前を大きく記入し、紛失しても持ち主が判り手元に戻る様にしたりの対策しました。それなりの効果はありました。
②2003/04 翌日業者に持って行く工具を自宅に持ち帰らず午前0時頃帰宅し、玄関で気付き又40分かけ、
会社に戻り取ってくる事が発生。(夜中に2回取りに行ったと小生は思っているが、) たまたま黄斑変性で眼科に通っていたので、ついでに神経内科?精神内科?を受診する事にしました。受診に関しては、特に感慨はなかった。しかもMRI、問診など受けたのだが、受診結果は、「異常ない」と言われた、本当?と疑問に思いました。そこで半年後別の病院で受診、MRI・問診そして髄液検査をして、99%アルツハイマー病と診断された。やっぱりかと納得したり、落胆したりでしたが、事実をしっかり受け入れる事が大事と思いました。
ここで言える事は、本人が納得できる診断が得られるようにセカンド・サードオピニオンを追及して行くべきと思った。富山の診療所そして講演会に来られた東京の先生の病院に行き診察・意見をもらった。
2.その後の生活
①女房に勧められ進行防止のために、計算ドリル・散歩ジョギングを極力するように努めた。
②クラス会・同級生と積極的?に関わり合い、色々おこなっていた。これらが小生の脳を刺激され維持できているのかなと思うのです。男性料理教室ワイワイガヤガヤ皆で作ると云う事は、これまた良い事と思うのです。
③やはりだんだん気力が落ちて来ているが、仲間とメールしたり・話して元気をもらう事が進行防止の薬
になっていると思うのです。
④2009/07より大阪にて人間モルモットになり治験をやり出している。3ケ月に2回ほど行って、点滴・検査
をしています。プラセボ(疑似薬)を飲む人もいないと申請のデータにならないらしいので、プラセボを飲まされているか判らないが、継続して受けている。
これも、早く根治薬が出来ればと云う思いから参加している。
3.私が思う事
-1早期発見・早期診断・セカンドオピニオンについて、
①まず大原則は、我々患者が本人で有り、主人である事を忘れない事。だから判らない事(特に専門用語等)
はキチント質問し納得するようにする。
②誤診されると、1年・2年はあっさり時間的・金銭的なロスをする。認知症の場合、うつ病と診断される人がかなりの確率で発生している様に思う。仲間にも、5年経過してうつ病からアルツハイマー病と診断変更された人もいる。5年の時間と費用は、誰が払ってくれるのだろうか。そこで必要なのが、セカンドオピニオンである。本人・家族が納得できる回答が得られないならば、セカンドオピニオン・サードオピニオンを求める納得できるようにすべきである。
③本人がまだ先生の発言や病気の事に対して正常な判断が出来る間に診断を受けるべきであると思います。(小生の場合も、異常なしの判断で、”先生の診断おかしい!”と思ったのです。この時、あなたはうつ病ですと診断されていたら、3年?5年は時間と金を無駄にする所だったと思う。誤診により効かない薬を投与され、副作用で体を壊す恐れもあるのです。)
-2治験について一言
①現在、新薬になるかもしれない薬の為に人間モルモットとして治験を受けています。はたして効果が有るのか判らないが、データがそろわないと新薬としての申請が進まないので、協力しています。認知症万民に効果のある薬は、そう簡単には誕生しないはずであるが、より多くの人に効果のある新薬が承認される様に皆で協力したいものです。
②ドラックラグをなくし世界同意治験と云う動きが活発化している事と思います。最低でも各国での治験開始時期を同時にして早く認可しようと云う働きがされています。後は国内での認可をいかに早くするかと云う事で、患者の思いをしっかり伝えて認可させましょう。
③根治薬(根本治療薬)が間違いなく開発される事が、明確にされています。(USAのTV番組で開発の手順などが見えて来ている様です。その時期がくるまで我々患者と家族は、頑張らないで・諦めないで・しっかり現状維持して、皆で励まし合いましょう。